2月27日(木)いきいきカフェが開催されました。
2020.3.10更新
いきいきカフェは、若年性認知症のご家族が自由にトークできる場。
日頃悩んでいることを共有したり、不安に感じていることを一緒に話してみませんか。
今回は奥様が前頭側頭型認知症のAさん、奥様がアルツハイマー型認知症のBさんが参加されました。日頃のご様子や普段心がけておられることなどをいろいろとお聞かせくださいました。
ケアラーとして自分のメンタルをどのようケアしていくかということも
とても大切だと感じていています
いきいき:Aさんは最近どんなことを感じておられるのでしょう。
Aさん:そうですね、自分のメンタルが少し心配と言いますか…苦しいところに差し掛かっているように感じています。前回の記事でも紹介していましたが、多賀 洋子さんという方の 認知症介護に行き詰まる前に読む本 「愛情を込めたウソ」で介護はラクになる という本に興味があって、読んでみようと思っています。
いきいき:最近は若年性認知症の当事者の方からの発信が増えてきています。また医師や介護・医療関係者の方の書かれた本も多く出版されてきました。この本はアルツハイマー型認知症のご主人を介護した体験を基に家族としてケアラー側の視点から書かれています。また同時にご自身も医療に携わっておられた経験から客観的な視点も加味されています。Aさんの奥様の場合は前頭側頭型認知症を患われていらっしゃるので、ピッタリとあてはまらない部分もあるかと思いますが、同じ若年性認知症ですので、やはり共通の部分は多くあると思います。
Aさん:患者ファーストということはもちろん大切です。それが重要だとは思うのですが、症状が進んでいって現実的な問題に直面せざるを得ないときに、ケアラーとして自分のメンタルをどのようケアしていくかということもとても大切だと感じていて、この本に興味を持ちました。
Bさん:共倒れになってしまってはケアも何もなくなってしまいます。私も自分のメンタルケアはとても大切なことだと思っています。こちらの施設の若年性認知症支援コーディネーターの方や家族交流会の方に相談したりすることが多いのですが、月に一度メンタルカウンセリングを受けています。現在介護が8年目ですが5年目くらいから進行が早くなりました。もちろん本人が一番大変だと思うのですが、私自身もかなり精神的に追い込まれてしまっているところもあります。
いきいき:家族交流会の方からの紹介ですか?
Bさん:知人からの紹介です。ケアの問題はもちろん介護だけではなくいろいろな条件も重なってくるので、生活全体をトータルで考えていかなければ意味が無いと思います。メンタルカウンセリングの場合は、介護以外のことも心理学的なアプローチからアドバイスをもらえたりしますし、介護施設、家族交流会や認知症カフェなどとはまた違った雰囲気のなかで話を聞いてもらえて、私のなかではとても大切な時間になっています。
いきいき:介護相談会、医療相談会や家族交流会などケアラーのための催しは多くあるのですが、ケアラーのメンタルケアという部分に特化した企画はあまり耳にしませんね。心理士に相談に乗ってもらえるようなイベントがあってもよさそうに思います。
Bさん:そうですね。そういったニーズは多いように思いますし、その視点はとても大切だと思います。
高齢者の方と違って若年性認知症の方の場合
身体的なポテンシャルが高い方も多い
いきいき: Bさんの奥様は、最近のご自宅でのご様子はいかがですか?
Bさん:先日理由はよく分からないのですが、突然不穏になり混乱した様子になって「友達のところに行く予定があるから。」と言い出し、家を出ていこうとして大変でした。
いきいき:実際には予定は無かったのですね?
Bさん:そんな予定はありませんでした。否定すると収拾がつかなくなるので、気分を他にシフトさせるために音楽をかけたり、お茶を煎れたりして落ち着かせようとしたのですが、どうしても収まりませんでした。
いきいき:いつもは収まるのでしょうか。
Bさん:落ち着きを取り戻すことが多いのですね。どうしても無理そうなときは、姉妹の声を聞くと安心することもあるので、電話で話してもらったりするのですが、その時はどうしても収まらなくて…。結局私が送っていくということにして家を出たのですが、それからが大変でした。普段はかならず手をつないで歩くようにしているのですが、嫌がるので後ろから付いていくようにしました。「何で付いてくるの?気持ち悪い!」などと言い出し、興奮してどんどんと急ぎ足になってしまい収拾がつかなくなってしまいました。四肢は健康で動きも速く反射神経も良いので、追いつけないくらい。急に向きを変えたりするのですが、交通状況や信号などもまったく気にしないのでとても危険な状態になってしまいました。
いきいき:どのようにされたのですか?
Bさん:結局2時間以上歩き回ったのですが混乱は収まりませんでした。交番を探して駆け込もうかと思ったのですが、再びお姉さんに電話で話してもらい徐々に落ち着きを取り戻してなんとか家に戻ることが出来ました。
いきいき:高齢者の方と違って若年性認知症の方の場合は身体的なポテンシャルが高い方も多いので、危険な状態になる場合もありますね。
Bさん:一旦外に出て近所を歩いているうちに気持ちが落ち着くというような記事を読んだことがありました。家族会の方に同じようなアドバイスを受けたこともありましたので、何度かその様な対応で事無きを得たこともあったのですが、このときはどうしても収まりませんでした。いつもマニュアル的な対応でうまくいく訳でないですね。
何回聞いても同じ案が好きだと答えます
感性が衰えていない証拠ですね
いきいき:Bさんの奥様は音楽がお好きとお聞きしています。現在も音楽は聴かれますか?
Bさん:そうですね。私と共通して好きな曲をよく聞きます。タイトル、アーティスト名や歌詞などは忘れてしまっている場合が多くなってきたのですが、昔から好きな曲をかけると必ず反応して楽しそうに踊り出したりします。記憶の障害はかなり進んでしまったのですが、感性は昔のままで変わらないように思います。
いきいき:そうおっしゃられる方は多くいらっしゃいますね。
Bさん:私はデザインの仕事をしていて、クライアントに見せるラフ案を何点も作成するのですが、どの案が好きか妻に参考意見を聞くことがあります。案を見てもらったことは忘れてしまうのですが、何回聞いても同じ案が好きだと答える。感性・センスが衰えていない証拠ですね。ただ、同じ感覚でも食に関しては味の濃いものや甘いものを好むようになり、少し傾向が変わってきています。また匂いに関してはかなり早い段階から障害が出ていましたね。
- ●今後の開催予定日
- 2020年 4月23日(木)14:00~15:30(ご都合の良い時間においでください)
- ●場所
- 〒152-0003
東京都目黒区碑文谷5丁目12-20ライオンズマンション学芸大学第3 1F
※いきいき福祉ネットワークセンターの隣のビルの1Fです - ●参加費
- 200円(コーヒーとお菓子)
- ●お問い合わせ
- 特定非営利活動法人 いきいき福祉ネットワークセンター 03-3713-8207 担当:川島
Information #019
映画「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」
関口祐加監督は認知症の母、ひろこさんとの日常を記録し、2009年YouTubeに投稿を開始。200万回以上再生されました。動画は2012年にドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」として結実。今回の作品はその完結編です。
詳しくは コチラ をご覧ください。
Information #020
ボクはやっと認知症のことがわかった
自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言
著者 長谷川 和夫 著者 猪熊 律子
“長谷川スケール” 開発者の眼にはいま、どんな世界が映っているのか?
「この本は、これまで何百人、何千人もの患者さんを診てきた専門医であるボクが、また、『痴呆』から『認知症』への呼称変更に関する国の検討委員も務めたボクが、実際に認知症になって、当事者となってわかったことをお伝えしたいと思ってつくりました」――(「はじめに」より抜粋)
詳しくはコチラ をご覧ください。
東京都若年性認知症総合支援センター
若年性認知症当事者、ご家族の方への総合的な支援を行っております。
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