「就労訓練」について

自立訓練で行なっている「就労訓練」について、ご紹介しようと思います。

2021.6.28更新

こんにちは。いきいき*せかんどです。今日は自立訓練で行なっている「就労訓練」について、ご紹介しようと思います。現在、自立訓練を利用されている多くの方々は復職や再就職を目指して日々、訓練に取り組まれています。と言ってもすぐに仕事に即した訓練を行うわけではありません。症状が千差万別で目に見えない障害だと言われている高次脳機能障害。医師から診断を受けても、生活や仕事にどのような影響が生じているのかご本人自身も分からない状態です。そのため、まずは(1)自分の高次脳機能障害の影響を知る(2)自身に合った対処方法を身に付けることを目標として訓練を行います。

(1)自分の高次脳機能障害の影響を知る
訓練開始時は高次脳機能障害の当てはまる症状を利用者間で発表し合います。お互いの話を聞くことで、自分にも当てはまるなどと新たな気付きに繋がることがあります。

(2)自身に合った対処方法を身に付ける

①反復練習就労訓練

反復練習就労訓練では、事務作業課題などを通して、マニュアルの使用や見直しを行い、正確に作業を行う練習をします。「遂行機能障害」にはマニュアルの使用、「注意障害」には見直し、「記憶障害」にはメモなどと対処方法が挙げられるようになっても、それを実際の場面で活用できるようになるためには繰り返し練習することが必要です。なぜなら、「手元にマニュアルはあるが確認が不十分で工程の抜けがある」「マニュアルを見ていたがどこまで行なったか分からなくなる」「見直しをしたがミスに気付けなかった」などといったことが起きやすいからです。

②エラーレス学習(誤りなし学習)、リアルフィードバック(その場で伝える)

エラーレス学習では対処方法を適切なタイミングで使用し、正答につながるように職員が関わります。誤りなく行うことで混乱を防ぎ対処方法の定着に繋げやすくなります。リアルフィードバック(その場で伝える)では作業終了時に本日の取り組みを振り返る場面を設定し、職員からも良かった所・取り組めると良いことをフィードバックします。何がうまくいっていないのか分からないことがあるため、客観的な事実をフィードバックすることで自身の障害に対しての認識を深める機会としています。

③作業環境への変化への対応

実際の仕事ではずっと同じ作業というわけではなく仕事内容の変化が伴います。就労訓練でも約1ヶ月程度で作業内容を変えて実施しています。マニュアルなどの対処方法を獲得することで、仕事内容が変わっても正確な作業に繋げられることを目指しています。


<マニュアルを見ながら事務作業課題を行っています>

④応用訓練

訓練はグループで実施をしていますが、対処方法が身に付き、復職や再就職が近づいた方は個別の訓練も実施しています。想定される仕事内容の実施に加え、メモリーノートなどを活用しながら予定管理をする応用的な内容に取り組みます。
就労訓練を通して、「はじめは覚えているから大丈夫と思っていたけど、作業が抜けていることに気がつくようになった」「マニュアルを確認することで次にやることが分かりやすくなり取り組みやすくなった」「ミスをするので複数回見直しをする習慣がついた」などと感想が聞かれています。実際に復職された方は自分でマニュアルを作り、職場に確認してもらい使っていると話されていました。就労訓練での取り組みをもとに力を発揮されている話を聞くととても嬉しくなります。これからも利用者様の力が発揮できるように訓練を進めていきたいと思います。


<個別で訓練を行っています>

目黒区高次脳機能障害者支援センター

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